素材特性

5.プラスチックフォームドカーボン(PFC)の特徴

プラスチックフォームドカーボン(PFC=plastic formed carbon)は、三菱鉛筆様が、シャープ芯・鉛筆芯の製造技術の延長で開発された新しいカーボン素材です。
弊社では、新しい用途開発および小ロット品の加工を含めた形でプラスチックフォームドカーボン材料の取り扱いをしております。

プラスチックフォームドカーボンとは?

鉛筆の芯には10B~10Hと種類があるように、そのノウハウを活かしてプラスチックフォームドカーボンも 素材の混練から材料を作り上げ事ができます。そして材料の配合や焼成温度などの製造の過程を調整すること様々な特色を材料に持たせることが可能です。例えば、硬度が高い材料や、弾性率が必要なものなど、製品の形状や量産数などの条件次第で、お客様の使用条件に合わせたオリジナル材料を製造出来ます。

プラスチックフォームドカーボンの特性

通常のカーボンの特徴である電気伝導性・熱伝導性・耐熱性・耐食性・潤滑性・生体親和性・吸着活性などを持ちながら、高強度・高剛性の特徴を持っております。また、パーティクルの発生が非常に少なく耐腐食性・耐摩耗性に非常に優れた材料です。他にも、ガスの透過率が低く純度が高く軽量であり、プレス成形に近い加工方法で肉厚の薄い形状のものが加工出来ます。その為、通常の黒鉛材料では出来なかった用途へ応用されており、現在も新たな用途開発が検討されております。
弊社の得意としている嵌合加工を組み合わせた新しい製品の展開を検討しております。

プラスチックフォームドカーボンの参考使用用途や今後の展開

お客様の使用環境に合わせた製品で提供をさせて頂いていることが多く、一つ一つの製品を詳しく紹介することが難しいアイテムばかりです。また、通常の黒鉛素材もプラスチックフォームドカーボンも、複数の優れた特性から、製品(材料)として採用される事が多くなっております。

ガスの不透過性

通常のカーボンはポーラスになっており、ガスを透過いたします。その為、樹脂含浸や金属含浸などの含浸処理を施し、不浸透材料に作り変えておりました。
しかし、プラスチックフォームドカーボンは、焼き上がりで不浸透材料となっており、含浸処理などの後工程が必要ありません。また、形状によってはプレス成形に近い加工を行うことが出来るため、今後、更なるコストダウンと量産化が課題となっている燃料電池用のセパレータや、電極材、ポンプのブレード部品(ベーン)などへの応用が期待されております。

パーティクルレス

プラスチックフォームドカーボンは通常の黒鉛と違い、パーティクルの発生が非常に少ない材料です。その為、精密機械の部品の使用に向いており、滑り板や、軸受などの機械部品として使えます。
通常のカーボンでは潤滑性は優れているが、パーティクルの発生が問題になる製品にはPFCは代替としてお勧めできる材料となっております。

高強度・高剛性、かつ軽量な特性

プラスチックフォームドカーボンは(通常のカーボン材料と同じように金属と比べて軽量ですが、通常のカーボン材料にない高強度・高剛性の特性を持っております。
近年、スプリング形状の製品の焼成が出来るようになったことから、機械装置のスプリング材料としての応用が期待されております。
熱を掛けながら圧力がかかる場所で一定の反発抵抗が必要な場合や、長期間の連続使用をされる場所、強度が必要な条件などがございましたら、是非ご相談下さい。

高強度・高剛性で、薄板加工が出来る

「プラスチックフォームドカーボンの特性」の横の写真で掲載しておりますような、曲がりのある薄板の製造が、PFCでは可能です。その為、
・従来のプラスチック材料などでは強度が足りない場所
・金属では磁気の影響を受けるため使えなかった場所
・繰り返し受ける力に耐えられない材料の代替検討をされている場所
などへの応用が期待出来ます。

緻密な材料である

通常のカーボン材料はポーラスであるため、表面積が多いという特徴があります。
一方、プラスチックフォームドカーボンは、ガス透過がない緻蜜な材料です。緻蜜な材料であるということは通常のカーボン材より表面積が少ない為、材料内部への酸化や薬品の影響を受ける事が少なく、摩耗や消耗が少ない材料となります。
導電耐熱部品や分析用の電極、ヒーター部品としてお使い頂くことにより長寿命化を図れることが期待できます。
更に、分析機器用の電極としてお使い頂くと、採取されるデータが安定する為、電極材として使われております。こういった、電極用途も増えてくる事が期待されます。

耐腐食性・耐薬品性

元々カーボンの特性としてある耐腐食性・耐薬品性に加え、プラスチックフォームドカーボンは、緻蜜でパーティクルの発生が少ないことから、半導体製造装置の部品としての応用が期待されております。

多孔質・高比表面積性

近年、三菱鉛筆様より、新しい材料として、多孔質プラスチックフォームドカーボンが開発されました。材料自体が多孔質なものから、表面積が活性炭の様に多孔質なものなど、様々な材料を開発されておられます。
そのポアの部分を利用し、イオンを効率よく保持するキャパシタ電極材やフィルター材料、バクテリアなどの繁殖床や、ろ過フィルターなどへの応用が期待されております。

撥水化処理・親水化処理

近年、新しい材料として、撥水化処理・親水化処理を施したプラスチックフォームドカーボン材料が開発されました。濡れ性を調整できるようになり、新しい用途開発を検討しております。
例えば、片側に液体が流れ反対側には気体が充填されており、少しずつ気体を液体に混ぜたい場合やその逆パターン。もしくは、液体と気体が一切混ざってはダメな場所がございましたら有効な材料となっております。

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