素材特性

4.カーボン複合材・結合質カーボン材料の特徴

カーボン複合材は、「黒鉛グラファイト」の性質と、複合する材料の両方の性質を合わせた材料です。 「カーボン複合材」は原料の混練・捏合の時点で黒鉛原料と複合する材料を混ぜ合わせて作りった素材となります。その為、黒鉛に他の素材を染み込ませる「含浸処理」や、黒鉛に被膜を作る「コーティング黒鉛材の特徴」とは違った素材となります。

カーボンセラミックス

カーボンとセラミックスを混ぜ合わせた強度と耐酸化特性を高めた材料です。
表面にホウケイ酸ガラス層を生成するために高温大気中で酸化されにくくなっております。耐摩耗性・耐熱衝撃を格段に向上させる事が出来ます。アルミ・銅・銀などの溶湯を汚染する事がなく不純物が混入する事もありません。
特に溶湯には濡れ難い特性と、耐酸化性を持ち合わせた材料の為、ガラス・銅・アルミの製造工場では、通常の黒鉛治具に比べ寿命が5倍~10倍という実績があります(お客様の使用状況・環境によっては効果が薄い場合もあります)。
材料価格は一般のカーボン素材に比べ高価ですが、治具の交換サイクルと延びることによりメンテナンスのコストダウンが期待出来る材料です。特に、高温条件下のご使用では、黒鉛に対しては消耗、金属部品では変形してしまう問題がございますが、その代替え材として有効です。更に、複合するセラミックの量は目的、用途に応じて選択できるため、お客様のご使用条件を教えて頂きます、最善の材料の選定をいたします。

主な使用用途

  • ガラス・型光学レンズ等のガラス加工治具
  • 銅・アルミ・銀の鋳造、溶解炉用部材
  • 熱処理プレート、トレイ、治具
  • 成形型
  • 軸受け、ガイドリング、シール材等の機械部品
  • パンタグラフ等の電気接点など

特性(BS11509)

  • 見かけ比重2.17g/cm3
  • 硬さ45Hs
  • 曲げ強さ1100kgf/cm2
  • 電気抵抗1400μΩcm
  • 熱膨張係数5.7(×10-6/℃)
  • 熱伝導率0.16cal/cm.sec.℃

樹脂結合質カーボン

樹脂結合質カーボンは樹脂含浸黒鉛材と同じく、カーボンの割れや、欠けを抑制する特性のあるカーボンです。
また、樹脂結合質カーボンは機械強度を上げ、シール性を向上させる為に作られています。
複合する樹脂の種類により効果が変わり、通常の酸・アルカリおよび、有機溶剤や塩素の溶液に対して、優れた耐性を持つ材料となります。
ただし、樹脂結合質カーボンも、複合材が樹脂の為、熱膨張係数が上がってしまいます。上がり度は 樹脂の種類や混合量に簓響されます。樹脂の耐熱温度は約150~300度程度の為、それ以上の熱には性能が維持出来なくなります。
複合する樹脂の種類により効果が変わる為、

  1. 使用環境(軸受け・メニカルシール・パッキン・ベーンなど)
  2. 流体条件(液体名・濃度・比重・粘度・常用温度・最高温度など)
  3. 使用条件(吸込、吐出圧力・吐出量・回転数・軸径・縦横型の回転方法)
  4. 現在の問題点,現在使用のメーカー品番など
  5. から、条件に合う材料の選定をいたします。

樹脂結合質カーボンの主な使用用途

  • メカニカルシール
  • 攪拌羽根
  • 樹脂結合質カーボン軸受け
  • ボールベアリング
  • 鉛筆・シャープペンシルの芯
  • スラストメタル
  • 海水ポンプ・プランジャポンプのガイドメタル
  • 化学プラント循環ポンプなど、各種ポンプのシールリング
  • ガソリン汲み上げなどのブレード

カーボン製品のご相談・御見積

072-654-5562

営業時間 平日8:30〜17:30(土日祝除く)