炭素入門編

6.そんなところにも黒鉛グラファイト製品が!?

カーボンが最近利用され始めた製品や、「そんなところにも炭素素材が使われていたんだ!」と発見に繋がりそうな物を紹介します。

ロータリーエンジン

マツダが世界で初めて開発したロータリーエンジンのローターにもカーボンは使われています。
ローターは三角形の形をしておりますが、エンジンのシリンダーに接触する頂点(Apex)に、黒鉛(グラファイト)に金属を含浸された複合材が使われております。これは、高温・高圧・さらにはガソリンの爆発による衝撃が加わり、潤滑性も要求される為です。カーボンの持つ特性すべてが有効に利用されています。この部品はアペックスシールと呼ばれています。直列・V型・水平対向エンジンのピストンリングにもカーボンが配合されております。

発光ダイオード(LED)製造治具

発光ダイオード(LED)製造には黒鉛製(グラファイト製)の治具が使用されております。発光ダイオード(LED)だけでなく、半導体や燃料電池、太陽電池などの製造の際のサセプターやウエハーの搬送キャリア、ダミーウエハーなどの名前で知られる製造治具用途で黒鉛(グラファイト)が使われております。

固体高分子形燃料電池「(polymer electrolyte fuel cell)=PEFC」

「家庭用燃料電池」という名前で知られています。都市ガス等の燃料から「水素ガス」をつくり空気中の酸素と化学反応させて発電しています。
燃料極(負極)、固体高分子膜(電解質)、空気極(正極)を貼り合わせて一体化した膜で、この電極に黒鉛(グラファイト)が使われております。また、セパレータ及び集電材にも黒鉛(グラファイト)が使われております。 元々は、固体高分子膜の触媒には白金が使われておりましたが、日清紡と東京工業大学の共同研究で、高価な白金(プラチナ)ではなく黒鉛(グラファイト)を使う技術が開発されました。黒鉛(グラファイト)の触媒は白金の10分の1の価格で作ることができ、家庭用や自動車用に供給する技術が確立されました。

電気二重層キャパシタ「(Electric double-layer capacitor)=EDLC」

電気二重層という物理現象を利用することで蓄電効率を著しく高めたコンデンサのことです。最近開発されましたが、既に様々なところで利用されております。
電気二重層キャパシタは、電圧を加えることによって電解質の正負の両イオンが、+極、-極両方に蓄電されます。両方の電極にイオンが集まることから、大電流を用いれば用いるほど早く充電することが出来ます。 電気を取り出すときも一気に、大電流を取り出すことが出来ます。逆に、蓄電された電気を少量ずつ使えば長時間の放電が可能です。
正負の両イオンは蓄電される電極の表面積に影響される為、電気伝導度が高く、表面積の広い高性能な活性炭や黒鉛(グラファイト)が電極として使用されています。
この電気二重層キャパシタは、携帯電話や、パソコンなどの電子機器の、メモリーのバックアップや、二次電池の長寿命化の為の電源として使われています。
★二次電池=蓄電池、充電式電池のこと。充電して繰り返し使用することが出来る電池の事。

CD・DVD等の光ディスク製造治具

CDやDVDなどの光ディスクの反射膜の製造治具に、高純度カーボンを用いた治具が使用されています。この部品は「スパッタリングターゲット」と呼ばれています。
ターゲットには、スパッタリングをしたい材料や設備環境に合わせ、MoやCr、Ni、Co系の材料などを使用します。
光ディスクの反射板は、アルゴンガスの雰囲気中で、基盤側を陽極、ターゲット側を負極として高電圧をかけると、アルゴンガスがプラズマ化(電離状態のガス化)します。すると、アルゴンイオン(Ar+)が負極であるターゲットに吸引され、高速で衝突しターゲット材料の原子を弾き出します。この原子は高速で真空中を移動し、基盤の表面にぶつかって付着します。繰り返し原子がぶつかる事により積み重なって層となり、CDやDVDの反射膜となります。スパッタリングとは被膜を精製する方法の一つです。
スパッタリングや真空蒸着は化学反応を含まずに、固体から気体を経由して薄膜を作ります。相対的に物理的状態変化による被膜成形方法をPVD法といいます。
これに対して、気体状態で化学反応を含む被膜成形方法をCVD法といいます。

メカニカルシール部品

ナノ結晶ダイヤモンド膜は、メカニカルシール部品で実用化されております。
ナノダイヤモンド膜をシャフト・シール・軸受などの機械部品に施し、液体ポンプシステムで使用すると、摩擦を減らし、耐摩耗性が増し、発生熱を減らすことができ、省エネルギーを可能にしています。

ウルトラブック(ノートPC)

ウルトラブック(Ultrabook)とは、インテルが提唱するノートPCのコンセプトの事です。その特徴は、インテルのCoreiプロセッサーを活用することで、薄くて、軽くて、処理性能も高いのに低価格であるというパソコンです。
各、パソコンメーカーから様々なウルトラブックが販売されていますが、あるメーカーの製品では、本体の軽量化のため、カーボンファイバー(CFRP)が採用されています。 CFRPの高強度・高弾性と、軽量、デザイン性も活かされています。

自転車

CFRP(カーボンファイバー)が飛行機や車に取り入れられているのは良く知られているところです。自転車でも利用は始まっております
フレームや、各ステー部品やリムにも、アルミやチタンに取って代わりカーボンが使用されるようになってきております。CFRP(カーボンファイバー)は軽さと柔軟なしなりから振動をよく吸収します。当初、レース用の自転車にCFRP(カーボンファイバー)が採用されました。自転車の車体の軽量化により、ライダーの疲労を軽減する目的で利用をされたのですが、微振動の吸収もしてくれるためタイヤのグリップ力が上がるなど相乗効果が発見されています。

飛行機

航空機用ブレーキディスクには、C/Cコンポジットが使われております。
スチールブレーキに比べ、ブレーキ全体で40~50%(B747-400では約900kg)の重量が軽減でき、ブレーキの寿命は2~3倍になるため、燃料費の低減や整備費の低減に貢献しています。車でもバネ下重量を数Kg軽量化すると車重を数倍~十数倍も軽量化した事と同じ効果があるといわれており、ブレーキやホイールの重量を軽くすることはとても重要な事です。
通常、カーボンは400~500度の温度域で空気中の酸素と反応し酸化磨耗が進みます。C/Cコンポジットも同じです。C/Cコンポジットブレーキにはその対策として、セラミックスやシリカ(二酸化ケイ素)や炭化ケイ素を配合して作られております。そうすることにより、C/Cコンポジットの保つ軽量・高強度の特性に加えて酸化磨耗を防いでおります。また、他の材料を複合させることにより騒音制御にも役立つように設計されております。
C/CとはCFRC(Carbon Fiber Reinforced Carbon)の略で炭素繊維強化炭素の意味で、コンポジット(composite)とは、複合や合成という意味です。

自動車部品(キャニスター)

車を動かしていなくてもガソリンは絶えず気化しております。それが大気中に流れ出ると大気汚染にもガソリンの浪費にもなります。
そこで気化したガソリンを活性炭および黒鉛(グラファイト)部品に吸着させ再利用される工夫がされており、その部品をキャニスターといいます。

自動車部品(カーボンナノチューブ)

カーボンナノチューブは非常に軽くて丈夫な素材で、バンパーの素材として配合し軽量化と強度を上げています。

橋脚・トンネルなどの繊維補強コンクリート

カーボンクロスやカーボン繊維を短く裁断した炭素繊維がコンクリートの補強材として使われています。
コンクリートの経年劣化や、外力(引張力)によって発生したヒビから、水分、塩分などの浸入によって、内部の鉄筋を錆びさせます。錆びやヒビが更に進むとコンクリートの脱落や剥離という問題が生じます 炭素繊維をコンクリート補強材として使うことにより鉄筋の外側を炭素繊維が覆いかぶさり、コンクリートのひび割れや剥落を抑制することが出来ます。更に、補強繊維の使用量を多くすると、鉄筋、鉄骨などで補強されたコンクリートに匹敵あるいは凌駕する程の性能も発見されています。

電磁波シールド

デジタル機器はアナログ製品より電磁波が多く発生します。特に病院には様々な機械があり、電磁波による誤作動防止のため、電磁波シールドが使用されております。
この電磁波シールドの材料にカーボンブラックが使用されております。
日本以外の多くの先進国では、電磁波は人体へ悪影響を与えると考えられており、電子レンジなどの家電製品にも必ず電磁波シールドをすることが義務付けられております。また、機器のデジタル化が進めば機器同士の相互干渉の防止が不可欠となり、電磁波シールドの必要性が注目されております。

歯科用治具

金や銀、パラジウム製等の歯を作る際に、金属を溶かす容器(ルツボ)として黒鉛(グラファイト)が使用されております。
黒鉛ルツボは、半導体の材料となるシリコンを溶かしたり、光ファイバーのケーブルに使われるガラスを溶かしたりする用途でも使われております。

化粧品(コスメ製品)

ローション・クリーム・トータルコスメなどの化粧品には、スーパーポリ水酸化フラーレンが配合されて使われております。スーパーポリ水酸化フラーレンには紫外線によって発生する活性酸素を抑制する効果があります。また、生体に有害である活性酸素(フリーラジカル)を攻撃し、吸収して無害化してくれる働きがあります。ラジカル消去効果による実験では、抗酸化作用はビタミンCの400倍。細胞死防御効果による実験から、ビタミンCの約125倍の抗酸化力を持つといわれており利用されています。

オイル(自動車などの機械オイル-その2)

エアコン、バイクなどの機械部品のオイルに、フラーレンが添加され使われております。一般的なオイルに比べ高価ですが、摩擦係数が低くなり機械への負担が減り、部品の寿命が延びたり燃費向上や省エネにも繋がる為、様々な所で活躍しています。

ハードディスクの磁気ヘッド

ハードディスクの磁気ヘッドのコーティングには、アモルファスカーボンが使われております。アモルファスカーボンの持つ平滑性、耐摩耗性、潤滑性、低ヤング率などの特徴が活かされています。

ペットボトル

ペットボトルの内面には、アモルファスカーボンのコーティングがされております。
アモルファスカーボンのコーティングすることにより、内部の気体が外に抜けない性質と外気が中に入らないようにしています。気体を通しにくく透明でかつ化学的に安定していることを利用しています。 アモルファスカーボンは、ダイヤモンドに似たカーボンということで「ダイヤモンドライクカーボン」=(DLC)とも呼ばれていま

食品(お菓子)袋

ポテトチップスなどの袋はアルミニウムの被膜が内面に施されています。アルミニウム被膜を作る際に、アルミニウムを溶かすルツボとして黒鉛(グラファイト)が使われております。
アルミニウムを高温に加熱して気化させ、プラスチックフィルムにアルミニウムを蒸着させます。ポリプロピレン・ポリエチレン・アルミニウムを組み合わせて使うことで、光・酸素・水分を完全にシャットアウトして食品を長持ちさせる事が出来るようになりました。

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