- 1 鉛筆
- 2 シャープペンシルの芯
- 3 墨
- 4 インク(着色料)
- 5 カーボン紙
- 6 磁気記録テープ
- 7 木炭
- 8 活性炭
- 9 石炭
- 10 竹炭(たけすみ・ちくたん)
- 11 黒鉛珪石(ブラックシリカ)
- 12 ダイヤモンド
- 13 石油
- 14 オイル(自動車などの機械オイル-その1)
- 15 タイヤ
- 16 電気製品のボタン
- 17 メンブレンスイッチ
- 18 電極
- 19 リチウムイオン二次電池
- 20 使い捨てかいろ(懐炉)
- 21 カーボンマイク
- 22 カーボンヒーター
- 23 調理器
- 24 布団
- 25 焼杉板(外壁材、杉焼き板)
- 26 空気清浄機
- 27 電車部品
- 28 ガスケット
- 29 自動車部品(CFRP)
- 30 モーター(カーボンブラシ)
- 31 レジャー用品
- 32 化粧品(マスカラ)
鉛筆
16世紀中頃に黒鉛鉱石を細かく切り出して使ったのが、鉛筆の始まりと言われています。現在の製造方式(黒鉛粉末を粘土と混ぜて成形・焼成する)で鉛筆が作られる様になったのは19世紀頃と言われています。
黒鉛は文字を書く「墨」、粘土は形状を作る「ボディ」の役割をしています。
シャープペンシルの芯
細いノズルから押出成形する事で樹脂の分子の向きを揃え、曲げ強度や靭性を高めてから約1,000℃で蒸し焼きにして作ります。焼かれる事で樹脂は気化して飛んでなくなったり炭化して炭となります。 すなわち、シャープペンシルの芯は「ボディ」を形成する樹脂も「墨」となり、文字を書く役割もしています。
墨
墨は、煤(すす)と膠(ニカワ)と香料を練り固めて乾燥させて作られます。
煤(すす)とは微粒子のカーボンの事ですが、墨の原料となる煤(すす)は松の木と松の木の樹脂を燃やして作る松煙墨(しょうえんぼく)と、植物油を燃やして作る油煙墨(ゆえんぼく)から製造されています。
現在の墨の形になったのは、2~3世紀頃(中国)と言われています。
インク(着色料)
煤(すす)をインク(着色料)として使用されたのは紀元前25世紀(エジプト文明)だといわれています。
コピートナーや墨汁などの顔料もインク(着色料)に分類されます。
新聞・印刷用のインク(着色料)やプラスチックのインク(着色料)にはカーボンブラックが配合され作られております。
カーボン紙
耐久性のある紙に煤(すす)と蝋(ろう)や油などを混ぜた物を塗布されて作られています。現在はカーボン紙の塗料部分に樹脂で出来たスポンジ層が施されております。スポンジ層に圧力がかかりインクが出ると周りのスポンジ層からインクが染み出す構造です。繰り返し使っても鮮明に写るカーボン紙が作られております
磁気記録テープ
今ではほとんど使われなくなっている、カセットテープ、ビデオテープ、フロッピーディスクなどの磁気媒体にはカーボンブラックが使われております。
CD、DVDといったディスク型デジタル媒体より一般に耐久性があり長寿命とされています。企業のサーバなどのバックアップの際にはハードディスクでは耐久性に難があり、予期せぬ障害に見舞われやすい為、磁気テープを選んでいる会社もあります。
木炭
人類が火を使い始めてた頃から使われていると考えられています。遺跡から発見された木炭で放射線炭素の測定から推定された年代は一万年前から火は使われていると考えられています。 木炭は、空気を遮断した状態で木を焼くとできます(窯で木を焼く)。
活性炭
浄水器、浄水場、池や海などの水質浄化、田畑などの土に混ぜ、肥料や土の保水力を高めたり、脱臭剤、空気浄化、ガス処理など様々な場所で使用されております。活性炭は、ある種の薬品を使用したり、炭素化に利用する炉や炉内温度、炉内のガス等の環境を変えて木を焼くことにより出来ます。実際に活性炭を作るのによく使われる材料はヤシガラ(椰子の実から洗剤や油の原料を取り出した絞りかす)です。
石炭
よく化石燃料とも言われますが、古代の植物が完全に腐敗分解する前に地中に埋もれ、長い期間、地熱や地圧を受けて変質(石炭化)したものです。燃料をはじめ人造黒鉛の原料(コークス)にもなります。
竹炭(たけすみ・ちくたん)
主に燃料として使われる木炭と違って、竹炭は生活補助機能目的として利用されることが多いです。例えば、湿度調節機能や、脱臭・空気浄化機能、土壌改良剤として使われています。また、近年ではパンやケーキの生地に練り込む事で、食事で摂り過ぎた栄養分や身体に要らないものを竹炭が吸着して除去するデトックス効果があると言われています。
黒鉛珪石(ブラックシリカ)
数億年の間、海底の珪藻類が堆積してできた天然鉱石で、多種の天然ミネラルをふんだんに含み、通常の物質の何百倍もの太陽エネルギーを吸収することで知られています。また、遠赤外線などの活性波動(育成波動又は治癒波動)や、マイナスイオンをはじめ様々な活性エネルギーを放射することも知られています。
汚水浄化濾材として使うと、浄化微生物の活性化により浄化が促進されることや土壌に黒鉛珪石を混入することで農作物の収量が増えたり、糖分が増すことなどが分かり、水質浄化や農業分野などでも利用が検討されています。珪酸を主成分として数パーセントの炭素を含んでいる為、黒鉛珪石と呼ばれています。
別名「ブラックシリカ」と呼ばれています。
ダイヤモンド
別名「金剛石(こんごうせき)」といい、宝石のみならず色んな所で昔から使われています。例えば、レコード針の先端はダイヤモンドが使われています。また、物を削る砥石にもダイヤモンドが使われています。ダイヤモンドは黒鉛(グラファイト)と同じ炭素の同素体です。ダイヤモンドは実際に硬度を測定して計れる物質の中で一番硬い事が特徴です。
ダイヤモンドは
炭や黒鉛と同じ炭素原子の塊です。炭素原子の結合方法が、黒鉛とダイヤモンドでは違います。
石油
石油(=原油)の出来た方法は、仮説として3種類あり、
有機成因論(生物由来説)
=生物の死骸が百万年以上の長期間にわたって蓄積されて出来た。無機成因論
=惑星が誕生する際には必ず大量の炭化水素が含まれており、炭化水素が惑星内部の高圧・高熱を受けて変質することで出来た。石油分解菌説
=石油分解菌により精製された。
オイル(自動車などの機械オイル-その1)
エンジンピストン、シリンダー、クランクシャフトなどの複数の部品が相互に力を及ぼし合いながら動く部分(相対運動)の表面損傷を防ぎ摩擦、磨耗を減少させるために、グラファイトが粉末または薄膜として使用されています。
グラファイトは異方性が強く、結晶面または分子間結合力が弱く、塊としての摩擦係数も小さい、いわゆる自己潤滑性をもっている為、グラファイトがオイルに添加され使われております。
タイヤ
ゴムの樹脂と硫黄に炭素(カーボンブラック=Carbon Black)を混ぜることにより作られています。ゴムにカーボンを添加することによりゴムの耐摩耗性・耐熱性をあげております。
ゴムは茶系色ですが、タイヤにカーボンブラック(黒)を混ぜている為黒色をしています。
カーボンブラックとは工業的に品質制御して製造されるススで、直径3-500nm程度の炭素の微粒子をさします。
近年ではタイヤの成分にシリカが配合されており、弾力性のある強力なゴムが作られるようになっております。製品によってはカーボンブラックを配合せず
シリカに切り替えが進んでいるものもあります。
電気製品のボタン
テレビなどのリモコンボタンや、ゲームのコントローラーなどの家電製品のボタンにはカーボンブラックが使われています。
プリント基板とボタンのゴムの接点にカーボンブラックが使われており、接触する事により電気が流れる仕組みになっています。
メンブレンスイッチ
メンブレンとは「膜」を意味します。圧膜印刷技術を応用したシートスイッチをメンブレインスイッチと呼びます。
表面のスイッチ部分は、一般的にポリエステルフィルムに導電インクが印刷されています。上部・下部の通電部分の間に絶縁物のスペーサーが挿入されている為、普段は通電部分が離れています。上部接点を押して導通させる事で電流が流れて信号が送られます。そういったスイッチのことをメンブレンスイッチと呼びます。
電極
乾電池の中には、純度の高いグラファイト電極が使用されております
リチウムイオン二次電池
二次電池というのは蓄電池や充電式電池ともいい、繰り返し使える電池のこといいます。一般に使われております充電式のリチウム電池は、正しくは「リチウムイオン二次電池」という名前です。
電解質中のリチウムイオンが電極に移動することにより、充電や放電して電気を取り出せます。正極にリチウム金属酸化物を用い、負極にグラファイトが用いられております。充電すると炭素にリチウムイオンが吸着します。電池を繋ぐと炭素に吸着していたイオンが離れ、正極へイオン電子が移動することにより電気が発生します。
使い捨てかいろ(懐炉)
中身は、鉄粉、食塩と活性炭が使われております。鉄が食塩と反応するときの発熱を利用して暖を取ります。
活性炭は酸素を取り込むために使用されており、鉄と塩の反応を制御しています。他にも鉄の錆びを促進する水、水を保水するためのバーミキュライトが併せて入っています。
カーボンマイク
炭素粉の接触抵抗の変化を利用したマイクです。
今ではあまり見なくなった、黒電話(600型電話機)や公衆電話、無線機の送話器にも使われていました。カーボンマイクの後に開発された永久磁石やコイルなどを使うダイナミックマイクが普及するまでは、レコードの録音や、アナウンサーや音楽の集音用として放送局やコンサートホールでも使われていました。
二枚のカーボン電極の間にカーボンの粉を入れ、片方のカーボン電極を固定し、もう反対側を稼動するように取り付けます。電極の間に直流の電流を流しておくと音声(空気振動)により稼動側のカーボン電極が振動します。この際、電極と炭素の粉との接触抵抗が変化し電気信号が得られます。その電気信号を音声化するマイクをカーボンマイクといいます。
カーボンヒーター
石英ガラスの管の中に、炭素繊維を不活性ガスで封入して作られています。
従来のハロゲンヒーターに比べて耐久年数が長く、熱効率が高く消費電力が約半分程度で済みます。また、赤外線の放射効率もハロゲンヒーターに比べて高く暖房性能が良く、遠赤外線の効果が高いことから体の芯から温まります。
調理器
炊飯器や鍋、オーブンなどの電気調理器(IH)にも、カーボンの粉粒を焼結させた素材が使用されており、カーボンの熱伝導性などが活かされております。
布団
中綿には炭素繊維が使用されております。軽くて断熱性に優れている点や、湿度の調整機能(湿り気の多いときは水分を吸収し、乾燥している時は水分を放出します)も持ち、さらに炭素の消臭機能も活用されております。
焼杉板(外壁材、杉焼き板)
旧家屋には良く使われている焼杉板(外壁用杉焼き板)は日本家屋の外壁材として珍重されてきました。杉板の表面をバーナーで炙って炭化させることにより杉板が腐食するのを緩和しています。カーボンの持つ耐薬品特性の応用で、昔の人の知恵から生まれた非常に丈夫な外壁材です。
空気清浄機
炭素には非常に優れた空気の浄化能力があります。その特性を利用し、空気清浄機に使われています。活性炭や竹炭などを粉末化し繊維に吸着したり織り込んだフィルターを通すと匂いなどを吸着し、清涼な空気を生み出しています。また、シックハウス症候群の原因となっているホルムアルデヒドも除去します。エアコンフィルターガスにも活性炭が使用されております。
電車部品
電車には炭素製品がたくさん使用されております。
パンダグラフやトローリーホイールなどの集電板や電気接点に炭素製品が使用されております。
右の写真は「トローリーシュー」と呼ばれる集電部品です。
ガスケット
グラフォイルシートは、自動車エンジンのガスケット(シール材)などとして使用されています。接触部品の熱膨張を吸収し、割れ、クラックを防止しています。
自動車部品(CFRP)
自動車部品には、一部CFRP(カーボンファイバー)が使用されております。
まだ、難加工と高価格であることから全車種へ適用はされていないようですが、
- サイド・ビーム
- ドア・パネル
- ヒンジ
- サスペンション・アーム
- プロぺラシャフト
- フレーム
- バンパー
- フロント・エンド
- フード(ボンネット)
- ボディ
モーター(カーボンブラシ)
技術の進歩により、ブラシレスのモーターなどが開発されておりカーボンの需要が減っているのが実情ですが、モーターにはモーターの軸を受ける場所(軸受け)や、回転運動を作っている電気接点(カーボンブラシ)にカーボンが使用されております。 車の窓、電車の動力、ポンプ、電動工具など、ありとあらゆるところにカーボンは使用されております。特に小型で大容量の力を要求される場所には、カーボンブラシを用いたモーターが使われています。
レジャー用品
ゴルフクラブのシャフト、テニスラケット、釣竿、スキー・スノーボードの板などのレジャー用品に、CFRPが使われてきております。 CFRPとは、炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics)の略です (通常グラスファイバーと呼ばれます)。 GFEP=ガラス繊維強化プラスチック(Glass Fiber Reinforced Plastics) AFRP=アラミド繊維強化プラスチック(Alamide Fiber Reinforced Plastics) BFRP=ボロン繊維強化プラスチック(Boron Fiber Reinforced Plastics) CFRPにも様々と種類があります。
化粧品(マスカラ)
マスカラやアイライナーには、カーボンブラックが添加されております。 カーボンブラックは化粧品に色を付けるために用る着色成分ですが、油分に強い為水をはじきやすい性質を持ちます。