機械加工入門編

2.図面の読み方-図面の書き方

物作りをする上では、一つの物を作るのに数種類の工程を経由する事が多く、それぞれの担当者へ作りたい形状を伝える事が重要です。その伝いたい情報を絵に描いてやり取りをします。
他の人が見て判るように記載するルールもあります。
「図面の読み方・書き方」では、そういった製図の決まり事を紹介いたします。

図面の線の種類

図面に描かれた事を理解する上で知っておかなければならない線の種類があります。
線は種類によって示している内容が違う為です。
「図面の線の種類」では、どの様な線の種類があるのかを紹介いたします。

実線

実線は見える部分の形状を示します。

破線(隠れ線)

破線は隠れた部分の形状を示します。

細線

細線は寸法・見出し(注釈)を示す際に使います。

一点鎖線

一点鎖線は対象を示したり中心を示します。

波線

波線は対象の一部や連続する部分の省略を示します。

ニ点鎖線

ニ点鎖線は隣接する(重なり合う)部品の外形線可動部分の特定の位置や、可動限界を示す線、重心を重ねた線(重心線)、 加工前の部品の外形線を示す際に使います。

図面の画法

製作図には、三角法が利用されています。その為、三角法を説明しようと思うのですが、 三角法を説明する上で 三角法が理解しやすくなる為にも「図面の画法」に少し触れておきたいと思います。

展開図法

立体の表面を切り開いて平面に伸ばして描く図形をいいます。
小学校のとき 四角形や円柱などの展開図を勉強したと思いますが、展開図法では表現するのに限界が有ります。

相貫図法

描きたい形状の辺と辺と繋げて、第三者が見て立体的に想像しやすく作る手法です。
三角法を用いて表現していても相関図と同じ様に補助線引き、内容を判りやすく伝える方法として使えます。

平面幾何画法

平面図形を描く手法として用いられています。
製図用具(三角定規・コンパス・分度器・円定規など)を使い計算によって図面を描く画法です。

投影法

平らな壁の前に物体を置き、正面から見た状態を壁(図面)に描く画法です。
投影法には平行投影と透視投影とに分類されます。

平行投影図

正面から見た状態を 平行に描く画法です。平行投影図は更に 以下に分類されています。
1.直角投影図(被写体を正面からみて直角に描く方法)
a.正投影図(被写体を正面から直角にかつ平行に描く方法)
b.軸測投影図(被写体を斜めにし立体的に描く方法)
i.等角投影図(被写体を斜めにし定まった角度で平行に描く方法)
ii.不等角投影図(被写体を斜めにし角度を定めず立体的に描く方法)
2.斜投影図(被写体を正面からみた面と、通常見えない辺を立体的に平行に描く方法)斜投影図はキャビネット図とも呼ばれています。

透視投影図

透視投影図は、美術のデザインのように見た目をそのまま立体的に描く画法です。 文章で書くと近いものは大きく、遠いものは小さく描きます。主に建築図面の全体像を表したりする際に用います。

三角法

三角法は正式に’第三角法といいます。 画法の分類では投影法-平行投影-直角投影-正投影に分類されます。被写体を三方向から見てそれぞれを正投影で描きます。また、隣り合う部分が繋がるように正面から見て、左右・上下を正しく並べて描く事がポイントです。
三角法では一般的に絵を横長に描きます。ただし、図面は作り手に必要なものを正確に加工してもらう為に描く事が最も重要です。 その為、 重要なポイントが図面を見た瞬間に相手に伝わる様に描く事を常に心がける事です。

補助図

図面を描く際には、三角法の欠点を補うのに補助図を描きます。
立体的に想像し難い場合などに補助図を記載しておきます。

補助投影図

部分的に複雑である際に注意が必要とされる箇所を描いておきます。

回転投影図

製品に角度が付いており 側面図などでは判らず回転させる事によって作り手に必要な形状を伝える際に描きます。

展開図

一枚の板を複雑に折り曲げる形状を作る際などに、素材の元の大きさを描いたりします。

想像図

2つの部品を組み合わせたり、可動部分の運動範囲を示す際に描きます。

断面図

内面に複雑な加工がされている際に良く用います。 部分的に断面図にされていたり、複雑に断面を描いている時など状況によって様々です。

線・図の省略

実際に図面を描くのには、ある程度の時間が必要です。その為、出来る限り簡略化し不要な事項は省略されて描かれます。また、逆に連続した加工など、図面に描き過ぎると読みにくくなる場合は省いて描く事により形状を判り易くします。
省略が可能な一例を紹介いたします。

部分断面図の隠れ線の省略

部分断面図に隠れ線を描くと余計に判りにくくなる為省略します。

左右対称など、図形の省略

言葉の通りです。中心線を描いて「左右対称」と付け加え省略します。

繰り返しの省略

黒鉛(カーボングラファイト)ではよくあるのですが、平面に50ケとか、100ケとか、穴加工を必要とする場合があります。そんな時、一部分穴ピッチなど必要な事を記し、後は開ける個数を描き図面には全ての穴は描かず省略します。

中間部分の省略

絵は、基本的には等縮尺・等倍率ですが、縦横に比べ、余りにも長尺な物を描く際などは途中が省略されます。

板物の側面図の省略

板形状の物は、「3t」などと記せば、加工者に厚みが伝わる為、側面図が省略されます。
しかし、穴加工などがある際、「3-φ3 (貫通)」や、「3-φ3深さ1 . 5」などの指示漏れがないか注意が必要です。
図面を描くにあたって一番肝心な事は、誰が見ても一目で判る図面である事です。
三角法に基づき正しくし描けば作り手に伝わりますので、手間省の略(横着)せず描くことがポイントです。お客様から頂いた黒鉛(カーボングラファイト)の組み合わせる形状から、ちゃんと組み立てが出来るように条件を追加記入をしたり、作り手に加工漏れがないように三角法に基づいて修正をする事があります。

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