素材特性

7.カーボンファイバー(炭素繊維)の特徴

カーボンファイバーは単独で使用される事は少なく、通常は樹脂や金属・セラミックスなどを主成分とする原料に配合され、複合材料の強化や機能性付与材料として利用されております。

カーボンファイバーとは?

カーボンファイバーとは、石油やアクリル系の長繊維を炭化(黒鉛化)して作られます。
カーボンファイバーはカーボンのもつ、耐熱性、通電性、薬品反応耐性、低熱膨張率、自己潤滑性などに優れています。他にも機械的強度(高比強度、高比弾性率)という特徴を持っております。
カーボンファイバーには大きく分けてPAN系と、ピッチ系の2種類があります。

カーボンファイバーの製造方法の違いと特性

PAN系炭素繊維とは?

PAN系は、合成繊維であるアクリル長繊維(ポリアクリルニトリル繊維)から作られています。空気中で200~300℃の温度域で熱処理され耐炎化繊維を作ります。その後、酸素のない状態で1000℃以上の温度で焼き、炭素繊維が作られます。
PAN系は、高強度-高弾性の特性から、航空宇宙分野や産業分野の構造材料、スポーツ・レジャー用品(スキー板・サーフボード・アーチェリーの弓など)に使用されております。

ピッチ系炭素繊維とは?

一方、ピッチ系は、石炭タールや石油ピッチ(コールタールピッチを原料に高温で炭化して作った繊維)から作られています。ピッチ系は、原料や製造方法の違いから、多様な炭素繊維が作られます。
引張弾性・曲げ弾性の特性と、カーボンの持つ性能を兼ね備えた素材です。カーボンファイバーを、そのまま断熱材や通電性のあるマットとして利用したり、基材となる原料に配合して、通電性を持つプラスチックや、断熱性を持つ塗料として使われております。

カーボンファイバー(炭素繊維)は、「CFRP」や、「C/Cコンポジット」の基材として利用されております。近年では、綿花やセルロースなどの、植物繊維を高温で焼成し炭素化したカーボンファイバーや、炭化水素ガスからつくる、 気相成長系カーボンファイバーも開発されております。

カーボンファイバーの主な種類(名称)

カーボンファイバー(炭素繊維)には、長さや形状に種類があり、それぞれ名称があります。

フィラメント

炭素繊維を纏めた長繊維の束のこと。

トゥ

大量の長繊維の集合体で撚りのない繊維束のこと。

ブレード

フィラメントとトゥを編んで作った紐。

ミルド

繊維を細かく切断した物。

チョップ

ミルドより長めにカットした素材。

ペーパー

短い繊維をバインダーで漉した製品。

シート

ペーパーに炭化率の高い樹脂を含浸させて成型した物。

フェルト・マット

炭素繊維を積み重ねてマット状にした集綿体。

クロス

炭素繊維をベースにして布状に織ったもの。

プリプレグ

炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた半硬化状態のもの。 プレスと熱で硬化させるとCFRPとなります。

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